「When it comes to the arts, passion should always trump common sense.」-Robert De Niro(ロバート・デ・ニーロ)

探究心
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意味=「芸術に関して言えば、情熱は常に常識をくつがえすべきだ。」

ロバート・デ・ニーロの名言

「When it comes to the arts, passion should always trump common sense.」-Robert De Niro

「ウェン イットゥカムズトゥー ディアーツ、パッション シュドゥオールウェイズ トゥランプ カメンセンス。」

言わずと知れた名優、ロバート・デ・ニーロが、2015年にニューヨーク大学の芸術学部の卒業式で行ったスピーチの一節です。

ニューヨーク大学芸術学部とは?

ニューヨーク大学は、世界でも屈指の名門私立大学で、30名以上のノーベル賞受賞者を輩出し、法学や経営学、芸術学部を始め、様々な学問で高い評価を受けています。

「Tisch School of the Arts」、通称「Tisch(ティッシュ)」と呼ばれる芸術学部は、映画製作、脚本執筆、演技や演劇、歌やダンス、写真やイメージ、舞台や映画のデザインなど、様々な芸術を学ぶことが出来ます。

通っていた生徒には、アカデミー賞、エミー賞、トニー賞、グラミー賞などの受賞者も数多く、芸術分野においてそうそうたるメンツを輩出しています。

マーティン・スコセッシ、スパイク・リー、M・ナイト・シャマラン、ウッディ・アレン、アン・リー、オリバー・ストーン、ジョエル・コーエン、などの映画監督や、

アンジェリーナ・ジョリー、ウーピー・ゴールドバーグ、アン・ハサウェイ、マハーシャラ・アリ、フィリップ・シーモア・ホフマン、などの俳優、

近年は俳優としても活躍する、歌手のレディー・ガガも飛び級で入学し、通っていたことでも有名です。

ロバート・デ・ニーロの祝辞

ロバート・デ・ニーロは、アカデミー賞主演男優賞も受賞している、現代を代表する最高の俳優の一人であり、役によってしゃべり方や外見もガラッと変えてしまうそのスタイルは、デニーロ・アプローチと呼ばれ、見る者の心をつかむ数多くの名演技を残してきました。

「タクシー・ドライバー」や「ゴッド・ファーザーpart2」、「キング・オブ・コメディ」や「グッド・フェローズ」、最近では「ジョーカー」に出演したり、「アイリッシュマン」で主演を務めるなど、枚挙にいとまがありません。

そんなデニーロが2015年に卒業式で行ったスピーチは、「君たちは最悪だ。」という衝撃的な一言から始まり、芸術の世界で生きることの厳しさを説きつつ、どうすればいいか、という自身の経験を踏まえたアドバイスを、ユーモアを交えながら伝えてきます。

そんなデニーロの、芸術に向き合う姿勢についての名言です。

演説の中で、芸術に関して述べた一節が上記の言葉になります。

芸術とは、どういうことなのか、考えさせられる深い言葉です。

「common sense」は良識よりの常識(判断力)のことですが、例え良識であっても、それを良い意味で壊す、もしくは超えた行動を起こし、また新たな価値観が生まれていく、というのは、まさに芸術の本質であると言えます。

その鬼気迫る演技や、変幻自在な演技で、多くの常識を打ち破ってきたデニーロが言うからこそ、より説得力を持って聞けると思います。

また、それくらいの情熱を持て、とも言ってくれているようです。

そして、「trump」という言葉を使っていることで、普通に「負かす」のではなく「切り札を出して勝つ」というニュアンスがあり、なんとも深い言い回しになっています。

文の構造

「When it comes to A, B should C.」=「Aに関して言えば、BはCすべきだ。」

「A」=「the arts」

「B」=「passion」

「C」=「always trump common sense」が入ります。

「When it comes to the arts」とは?

「when it comes to~」=「~に関していえば」という意味になります。

「When(ウェン)」=「いつ、その時、~する時」という意味の副詞、接続詞、名詞、代名詞です。

基本的に日本語の「いつ、その時」と覚えておいて、後は状況ごとに使われ方の違いを知っていけば大丈夫です。

「it(イットゥ)」=「それ」という意味の代名詞です。

「come(カム)」=「来る、行く、到達する、起こる、~の生まれである」という意味の動詞です。

「it」が主語なので、三人称単数の「s」がついて「comes」になっています。

「to(トゥー)」=「~に、~へ、~のために」という意味の前置詞で、「平常の状態に(戻って)、閉まって、前方に、活動を始めて」という意味の副詞でもあります。

「when it comes to~」=「~に関していえば」という意味慣用句になります。

そのまま直訳しても、「それが~へ来る時」となるので、なんとなく意味は分かりますが、混乱してしまう時もあるかもしれないので、丸ごと意味を覚えておきましょう。

「regarding~」と同じ意味になりますが、「regarding」の方がフォーマルなニュアンスになります。

「the arts」=「その芸術」という意味になります。

「the(ダ)」=「その、あの、例の」という意味の定冠詞で、「それだけ、ますます」という意味の副詞です。

「art(アート)」=「芸術、美術、芸術作品」という意味の名詞、「技巧的にする」という意味の動詞です。

特定の芸術に関してしゃべっている訳ではないので、複数形になり、「arts」=「芸術たち」となっています。

「the arts」=「その芸術(たち)」という意味になります。

ちなみに、母音の「a,i,u,e,o」の前に「the」がついているので、「the」の読み方は「ダ」ではなく、

「the arts(ディ アーツ)」となっているので注意です。

「when it comes to the arts」=「芸術に関していえば」という意味になります。

「passion should always trump common sense」とは?

「passion should always trump~」=「情熱はいつも~を覆すべきである」という意味になります。

「passion(パッション)」=「情熱、激情、熱心、熱愛する物、苦痛」という意味の名詞です。

この文の主語になっています。

「should(シュドゥ)」=「~すべきである、~するはずである」という意味の助動詞です。

「passion should~」=「情熱は~すべきである」という意味になります。

「always(オールウェイズ)」=「いつも、常に」という意味の副詞です。

「trump(トゥランプ)」=「負かす、覆す、奥の手を出す、切り札を出す・で勝つ、でっち上げる」という意味の動詞、「(トランプの)切り札、奥の手、頼りになる人、ラッパ」という意味の名詞です。

この「trump」という言葉は、ただ「負かす」のではなく、「切り札を出して勝つ」という意味があります。

今まで弱かった者が、奥の手を出してギリギリ押し出す、ひっくり返してしまう」というイメージが出来ます。

「beyond」=「超える」、「overcome」=「打ち勝つ」でもなく、「trump」という言葉を使うことで、より臨場感を感じられる文になっています。

余談ですが、トランプ前大統領の名前でもあり、動詞の意味が色んな意味でトランプ氏に当てはまってしまうようにも感じますね。

「passion should always trump~」=「情熱はいつも~を覆すべきである」という意味になります。

「common sense」=「常識」という意味になります。

「common(カメン)」=「共通の、一般の、普通の、安物の、品のない」という意味の形容詞、「共有地、共有権、庶民、学生食堂、学食」という意味の名詞です。

「sense(センス)」=「感覚、勘、意識、分別、意味、大勢の意見」という意味の名詞、「感じる、気付く、理解する」という意味の動詞です。

「common sense」=「常識(的に振る舞い、行動出来る能力)、判断力」という意味の名詞、「常識的な、常識のある、明白な」という意味の形容詞です。

「passion should always trump common sense」=「情熱はいつも常識を覆すべきである」という意味になります。

ここで、「common sense」という言葉について、注釈したいと思います。

「common sense」≦「常識」になる

「common sense」は、短い日本語で表すと「常識」という意味ですが、いわゆる日本語の「常識」より狭い意味になるので注意が必要です。

日本語の「常識」は、「知っておくべき一般的な知識」という意味も入りますが、

「common sense」は「実践的な知識・振る舞い・判断力、備わっているべき感覚・能力」という意味で、

行動・振る舞い」に重きが置かれています。

自分の国の首相や大統領を知らない人を「常識がない」とは言えますが、

「common senseがない」とは言えないので注意です。

例えば、混んでいる電車の中でご飯をむしゃむしゃ食べている人を見た時などは、

「He has no common sense.」などという事が出来ます。

「知っておくべき一般的な知識」=「common knowledge(カメン ナレッジ)」になり、

日本語の「常識」には「common sense」も「common knowledge」も両方含まれていることを知っておきましょう。

それを踏まえた上で、ここでは「常識」と訳したいと思います。

「passion should always trump common sense」=「情熱はいつも常識を覆すべきである」という意味になります。

全てつなげて訳すると・・・

「When it comes to the arts,passion should always trump common sense.」

=「芸術に関して言えば、情熱はいつも常識を覆すべきである。」という意味になります。

ぜひ、映像でもデニーロのこの演説を確認してみて下さい。

実際にデニーロになったつもりで、声に出してみましょう。

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