意味=「自分自身に打ち勝つことは、戦いで数千人に打ち勝つことより偉大な勝利です。」
ダライ・ラマ14世の名言
「To conquer oneself is a greater victory than to conquer thousands in a battle.」-Dalai Lama
「トゥカンカーワンセルフ イズアグレイターヴィクテリ ダントゥーカンカー サウゼンドゥ インアベトゥル。」
チベット仏教最高指導者であり、チベットの元国家元首でもあり、ノーベル平和賞を受賞した、ダライ・ラマ14世の名言です。
農家に生まれたダライ・ラマ14世は、3歳の時に、ダライ・ラマ13世の転生した人間である、とチベット政府から認定され、幼いころから王になるための厳しい訓練や教育を受けていきます。
そんな中、ダライ・ラマが15歳の頃に中国政府がチベットに侵攻を行い、急遽予定より早く法王に就任したダライ・ラマは、15歳という若さで、戦争に突入するか否かという政治的判断を求められることになります。
中国による宗教弾圧、共産思想の植え付けなどの暴力を背景にした支配に、平和的な解決を求め続けたダライ・ラマですが、24歳の時に、従者などを含めたチベット人数万人を引き連れ、インドに亡命します。
その苛烈さは、映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」や「クンドゥン」でも描かれていますので、ぜひご覧になってみて下さい。
その後、インドでチベット亡命政府を樹立したダライ・ラマは、61年間亡命政府の長としてチベットの自治を訴え続けますが、現在もチベットは中国の一部とされ、チベット人に対する人権侵害など、大きな国際問題になっています。
1989年にその非暴力による平和的解決を試みている功績としてノーベル平和賞を受賞し、政府の長を退いた今もなお、その発信するメッセージは世界中の人の心を動かし続けています。
そんなダライ・ラマ14世の、生き方に関する名言です。
これと似たメッセージが、仏教の経典である法華経の一説にあるようなので、元の考え方は仏教の教えから来ているのだと思います。
たくさんの誰かと競争することで、得られることはたくさんあると思いますが、ダライ・ラマは、自分に勝つことの方が偉大である、と言っています。
それほど、自分というものは正体がはっきりせず、コントロールしづらいことなんだと思います。
自分の欲望や邪悪な部分など、悪い部分とも向き合う必要がありますし、見ようとしても見ることが出来なかったり、ある意味どんな敵よりも強敵かもしれません。
英語ではありますが、まさに仏教的な哲学が入っている素敵な言葉ですね。
文の構造
「A is B than C.」=「AはCよりもBだ。」という意味になります。
「A」=「To conquer oneself」
「B」=「a greater victory」
「C」=「to conquer thousands in a battle」が入ります。
「To conquer oneself is~」とは?
「to conquer」=「打ち勝つこと」という意味になります。
「to(トゥー)」=「~に、~へ、~のために」という意味の前置詞で、「平常の状態に(戻って)、閉まって、前方に、活動を始めて」という意味の副詞でもあります。
今回は、「~すること」という意味の不定詞として使われています。
「conquer(カンカー)」=「征服する、克服する、獲得する、勝つ、打ち勝つ、勝ち取る」という意味の動詞です。
「to conquer」=「打ち勝つこと」という意味になります。
「oneself」=「自分自身」という意味になります。
「one(ワン)」=「一つの、一個の、ある」という意味の形容詞、「人、者、誰でも、一人、一つ、それ」という意味の代名詞、「一、一個、一人」という意味の名詞です。
「self(セルフ)」=「自己、自動」という意味の接頭辞で、「~自身」という単語を作ります。
「oneself(ワンセルフ)」=「自分自身(誰かにとっての)、自分自身で・が、自分で・が、見出し」という意味の代名詞になります。
他にも、「myself」「himself」「herself」「themselves」「itself」があります。
「myself」=「自分自身」と違うのは、「誰か自身、その人自身」という、自分ではない一般的な意味合いで使われることです。
「to conquer oneself」=「自分自身に打ち勝つこと」という意味になります。
「is(イズ)」=「~は」という意味の動詞、be動詞です。
「to conquer oneself is~」=「自分自身に打ち勝つことは~」という意味になります。
ここで、本文に出てきている不定詞に付いて説明したいと思います。
不定詞とは
動詞の原形に「to」が付くことで、名詞・形容詞・副詞的な用法が出来て、「~すること」、「~するため(に、の)」という意味になるルールのことです。
例えば、「to swim」=「泳ぐこと、泳ぐため(に、の)」という意味になります。
「~すること」という意味は、動名詞と同じですね。
「to swim」=「swimming」=「泳ぐこと」という同じ意味になります。
しかし、「~すること」と「~するための」と、どちらかの意味なのかというのは、文脈を見て判断していくことになります。
大きく意味が違うので、パッと見でどちらか分かるようになっていきます。
今回は「~すること」という意味で使われています。
「a greater victory than~」とは?
「a great victory」=「ある偉大な勝利」という意味になります。
「a」=「一つの、ある」という意味の不定冠詞(定まっていないものにつく)で、名詞の前に付きます。
「great(グレイト)」=「偉大な、偉い、大きい、大~、非常な、多大の、大王、最も重要な、主な、お気に入りの、著名な、詳しい、うまい、熱心な、満ちた、素晴らしい、うってつけの」という意味の形容詞、「うまく、ものすごく」という意味の副詞、「偉い人、大物、素敵な人・物」という意味の名詞です。
「victory(ヴィクテリ)」=「勝利、戦勝、克服」という意味の名詞です。
「a great victory」=「ある偉大な勝利」という意味になります。
今回は、「great」に「er」がついて、比較級として使われています。
「a greater victory than~」=「~より偉大なある勝利」という意味になります。
「er」=比較級に付ける接尾辞、もしくは「~する人・物、関係する人・物・行為」という意味の接尾辞で、動詞に「er」をつけると名詞を作ることも出来ます。
「than(ダン)」=「~より、~よりむしろ」という意味の接続詞、前置詞です。
比較級を使う文章の時、何かを比べるとき、よくこの「than」が出てきます。
「a greater victory than~」=「~より偉大なある勝利」という意味になります。
比較級とは?
比較級とは、「~より~が良い(悪い)」と英語で言いたい時、その時使っている形容詞・副詞の言葉自体を変化させる、もしくは「more」をくっつけるルールが英語にはあり、その変化した言葉のことを比較級と呼びます。
最上級に使う形容詞・副詞には、語尾に「er」が付くものと、語尾に何もつかずに最初に「more」を置くもの、「bad」や「good」の様に不規則に変化するものがあります。
例えば、日本語では「この青いシャツは、この白いシャツよりも大きい。」と言う時、「大きい」という形容詞自体が変化します。
日本人にはない面倒くさすぎるルールですが、日本語が便利すぎるのかもしれません。
なので、英語だと、「big(ビッグ)」=「大きい」という形容詞が、「bigger(ビガー)」と変化します。
「この青いシャツは、この白いシャツよりも大きい。」=「This blue shirt is bigger than this white shirt.」となります。
変化の仕方は3パターンあり、語尾に「er」をつけるもの、「er」は付けずに前に「more(モア)」が付くもの、言葉自体がそっくり変わってしまうものがあります。
「big(ビッグ)」は、「big(ビッグ)」→「bigger(ビガー)」ですが、「good(グッドゥ)」→「better(ベトゥアー)」とまるごと変化し、「gooder(グッダー)」とはなりません。
「beautiful(美しい)」→「more beautiful(モアビューティフウ)」と変化し、これは「more(モア)」が前に付くだけで、「beautiful(ビューティフウ)」自体は変化しません。
「beautiful」のように長めの単語は変化せずに、「more」が前に付くだけです。
この変化の仕方は言葉によって異なりますが、よく使われてくるものは限られてきますし、次第に感覚で分かっていくので、その都度覚えていけば大丈夫です。
今回の「great」には、規則通り「er」が付いているだけですね。
「To conquer oneself is a greater victory than」とは?
上記の二つの文をくっつけて、
「To conquer oneself is a greater victory than~」=「自分自身に打ち勝つことは、~より偉大なある勝利だ」という意味になります。
「to conquer thousands in a battle」とは?
「to conquer thousands」=「数千に打ち勝つこと」という意味になります。
「to conquer」=「打ち勝つこと」という意味になります。
「thousand(サウゼンド)」=「千、無数」という意味の名詞、「千の、無数の」という意味の形容詞です。
複数形の「s」がついて、「thousands」になっています。
「thousands」=「数千」という意味になります。
「to conquer thousands」=「数千に打ち勝つこと」という意味になります。
「in a battle」=「ある戦いの中で」という意味になります。
「in(イン)」=「~の中に・で・の」という意味(場所・位置・方向、時間、状態、着用、範囲、材料・方法、目的、関係性、従事)という用法で使われる前置詞で、「中へ」という意味の副詞、「内部の」という意味の形容詞、「s」がついて「与党、現職者」という意味の名詞でもあります。
「battle(ベトゥル)」=「戦い、戦闘、闘争、勝利、成功」という意味の名詞、「戦う、押し分けて進む」という意味の動詞です。
「a battle」=「ある戦い」という意味になります。
「in a battle」=「ある戦いの中で」という意味になります。
「to conquer thousands in a battle」=「数千に打ち勝つこと、ある戦いの中で」=「ある戦いの中で数千に打ち勝つこと」という意味になります。
全てつなげて訳すると・・・
「To conquer oneself is a greater victory thanto conquer thousands in a battle」
=「自分自身に打ち勝つことは、ある戦いの中で数千に打ち勝つこと、より偉大なある勝利だ。」という意味になります。
ぜひ、声に出して読んでみて下さい。
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