「I’m not homeless. I’m just houseless. 」-Fern(Frances McDormand)ファーン(フランシス・マクドーマンド)

人生観
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意味=「私は家がない訳じゃない。私はただ住居を持たないだけ。」

ファーン(フランシス・マクドーマンド)の名台詞

「I’m not homeless. I’m just houseless. 」-Fern(Frances McDormand)-from「Nomadland」

「アイムナットゥ ホウムレス。アイムジャストゥ ハウスレス。」

映画「ノマドランド」でフランシス・マクドーマンド演じる主人公、ファーンの名台詞です。

「ノマドランド(Nomadland)」は2021年に公開され、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、トロント国際映画祭で観客賞、米アカデミー賞の主演女優賞、作品賞、監督賞を受賞している映画作品です。

ちなみに、

「nomad(ノウメド)」=「遊牧民、放浪者」という意味の名詞、「遊牧の、放牧の」という意味の形容詞です。

「land(ランドゥ)」=「陸、土地、土、農地、国家、住民、国民、田舎」という意味の名詞、「上陸する・させる、陸揚げする、着く、下車・下船・着陸する・させる、獲得する、釣り上げる、食らわす、陥る・陥らせる」という意味の動詞です。

「Nomadland」=「遊牧の住民、遊牧の国」という意味の造語の名詞になります。

主人公の女性ファーンは、夫を亡くし、教員やパートの仕事で生計を立てていましたが、2008年に起きたリーマンショックの影響で街が閉鎖されることになり、長年住んでいた社宅から追い出され、仕事も失ってしまいます。

必要な生活用具を車に積み、家を持たない「ノマド」として生きていく事を決めたファーンは、日雇い労働を転々としながら、車の中で生活する日々を始めます。

その道中で、同じように仕事や家を失ったノマドの人達や、ノマドとして長く生活している人達に出会い、彼らが自身に誇りを持ち、自由な生き方をしていることに触れ、ファーンの心も変化していき、自分の居場所を見つけていきます。

映画では、主要キャストを除いて、実際に「ノマド」として生活する人達が大勢出演していて、映画であると同時にドキュメンタリーの様な語り口で、社会問題である格差の現実が描かれています。

そんなファーンの、自身の生き方を前向きに捉えている名台詞です。

ノマド生活を始めてからファーンが訪れたホームセンターで、かつての教え子だった少女が話しかけてきます。

そこで、少女に、「ママから聞いたんだけど、ホームレスになったって本当?」と聞かれ、上記の台詞を言います。

「住居(House)」はないけど「家・帰る場所(Home)」はある、ということを含んでいます。

ファーンは、家がないからと言って引け目を感じている訳でもないですし、家とはそもそも何か、考えさせられる言葉でもありますね。

今はノマドワーカーのように事務所や会社を持たない、リモートワークのように通勤せず自由な場所に住む働き方もありますし、一つの場所に留まる、ということが必然ではない時代になって来ているんだと思います。

ファーンのような生き方はむしろスマートで、人によってはより楽に生きられる選択肢の一つかもしれません。

「Homeless」と「Houseless」という似た言葉の響き、意味の違いをうまく使った素敵なセリフになっています。

陰も踏んでいて、小気味良いセリフですね。

文の構造

「I’m not A. I’m just B. 」=「私はAではない。わたしはただBなだけだ。」

「A」=「homeless」

「B」=「houseless」

「I’m not ~」と「I’m just~」とは?

「I ‘m~」=「私は~である」という意味です。

「I’m」=「I am」の省略形になります。

「I(アイ)」=「私(は、が)」という意味の代名詞であり、「私、自我、我」という意味の名詞でもあります。

「am(アム)」=「~は」という意味のbe動詞です。

「I am~」=「私は~だ」という意味になります。

自分に関して使う時は「am(アム)」、目の前の相手に使う時か複数の時は「are(アー)」、その他が「is(イズ)」になります。

ややこしい感じですが、決してそんなことはありません。

いざ使ってみるときに、「am(アム)」というのは、現在進行形や受け身以外で、さほど使わないことに気が付きます。

「am(アム)」単体は、あくまでも自分の根源的なものを言う時に使います。

例えば「I am a man.」=「私は男だ。」とか、「I am hungry.」=「私はお腹が空いている。」とかです。

「am」を単体で使うことは意外に少ないです。

「私の体は~」など自分を離れると「is(イズ)」になるので、「is(イズ)」を使う方が圧倒的に多くなってきます。

「I’m not~」=「私は~でない」という意味になります。

「not(ナット)」=「~でない、~しない」という意味の副詞になります。

「I’m not~」=「私は~でない」という意味になります。

「I’m just~」=「私はただ~なだけだ。」という意味になります。

「just(ジャスト)」=「ちょうど、ようやく、やっと、たった今、ただ、~だけ」という意味の副詞、「正しい、当然の、正当な、正確な、ちょうどの」という意味の形容詞です。

「homeless」と「houseless」の違い

「homeless」=「家がない」という意味になります。

「homeless(ホームレス)」=「家のない・家がない(住居に恵まれない)」という意味の形容詞です。

「home」+「less」の形になっています。

「homeless」に「the」をつけると、

「The homeless」=「ホームレス(の人々)」という意味の名詞になります。

日本語だと「ホームレス」という言葉は名詞ですが、英語だと「the」を伴って名詞になるので、それ以外は形容詞として使われます。

作品中では、少女が「My mom says that you’re homeless. Is that true?」と聞いていて、ファーンは「I’m not homeless.」と答えていて、どちらも「the」がついていないので、形容詞の方で使われています。

「home(ホーム)」=「家、家庭、住所、故郷、中心地、本場、生息地、原産地、宿泊所」という意味の名詞、「家に帰る、巣に帰る、家を構える」という意味の動詞、「わが家へ、帰宅して、故郷へ」という意味の副詞、「家庭の、自家製の、国内の、故郷の」という意味の形容詞です。

日本語でもよく聞く「ホーム」です。

「less(レス)」=「より少ない・小さい」という意味の形容詞、「より少なく・小さく」という意味の副詞、「~だけ不足した」という意味の前置詞、「より少ない額・量、より劣るもの」という意味の名詞、「~のない、~できない」という意味の接尾辞です。

何かの単語に「less」がついて、様々な言葉を作ることが出来ます。

「houseless」=「住居を持たない」という意味になります。

「houseless(ハウスレス)」=「家のない(住居を持たない、住居に恵まれない)」という意味の形容詞です。

これも「house」+「less」の形になっています。

「house(ハウス)」=「家、邸、宮、一家、~家、屋敷、家の住人、家族、家庭、建物(小屋、物置、すみか、商店、会社、会館、劇場、宿屋、教会・修道院、学生寮、議事堂、株式取引所)、組、観客、興行、~院、~座、ハウスミュージック」という意味の名詞、「家の、社員用の、住み込みの」という意味の形容詞、「家に入れる、泊める、収容する、家を与える、宿る、住む、避難する、蓄える、しまい込む」という意味の動詞です。

「homeless」=「運悪く家がない」というニュアンスなのに対して、「houseless」=「自らの意志で住居を持たない」というニュアンスがあります。

「house(住居)」はなくても、「home(帰る場所、家庭、心のより所)」はある、という意味です。

全てつなげて訳すると・・・

「I’m not homeless. I’m just houseless.」=「私は家がないのではない。私はただ住居を持たないだけだ。」という意味になります。

日本語に訳すると、韻を踏んでいる感じが分かりづらく、テンポもでないので、ぜひ英語のまま感じてみて下さい。

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