意味=「あなたでないことで愛されるよりも、あなたであることで嫌われる方が良い。」
アンドレ・ジッドの名言
「It is better to be hated for what you are than to be loved for what you are not. 」-Andre Gide
「イティイズベトゥアー トゥービーヘイティッド フォーワッチュウアー ダン トゥービーラヴドゥ フォーワッチュウアーナットゥ」
フランスの作家・小説家で、ノーベル文学賞を受賞したアンドレ・ジッドの名言です。
裕福な家庭に生まれたアンドレ・ジッドは、学生時代に放校になり、精神を病みますが、若くして文学制作にのめり込み、旅行先の北アフリカで、アイルランドの作家オスカー・ワイルドに出会ったり、娼婦や同性愛に接して刺激を受けます。
アンドレ・ジッドは同性愛者でしたが、女性と結婚していたり、フランスの植民地支配に異議を唱え、ナチズム・ファシズムに反対する活動を行ったりと、物怖じせず、自由な生き方を貫きました。
「狭き門」、「田園交響曲」、「贋金作り」などの作品で知られ、「贋金作り」では、作品の中で同名小説を主人公が執筆するという設定であり、今でこそ知られているメタフィクションと呼ばれるその手法を取り入れた作品は、世界中の作家に影響を与えました。
そんなアンドレ・ジッドの、自分らしく生きるとは何かを教えてくれる名言です。
仕事でやむを得ない時もあるでしょうが、誰しも人前ではついつい愛想笑いをしたり、自分ではないキャラクターを演じてその場を過ごしてしまう時があります。
自分ではないことを知っているのに、それで愛されてしまうよりも、本当の自分を出して嫌われる方が良いとアンドレ・ジッドは言っています。
同性愛が今よりも認知されていない100年ほど前に、同性愛者であることをカミングアウトしていたり、支配的な他国の政権に異議を唱えたりと、まさに自分の思っていることを隠さず貫いたアンドレ・ジッドは、強く自由な生き方を実践しました。
自分を偽らずに出すことは勇気がいることでしょうが、自分を出して嫌われた方が、むしろ生きている心地がする、気持ちの良い生き方かもしれません。
自分とは何か、ということも考えさせられる強い言葉です。
文の構造
「it is better to A than to B」=「AすることはBすることよりもっと良い」という意味になります。
「A」=「be hated for what you are」
「B」=「be loved for what you are not」が入ります。
①「It is better to A than to B 」とは?
「it is better to~」=「~することはもっと良い」という意味になります。
「it(イットゥ)」=「それ」という意味の代名詞です。
「is(イズ)」=「~は」という意味の動詞、be動詞です。
「it is ~」=「それは~だ」という意味になります。
「better(ベトゥァー)」=「もっと良く、さらに、むしろ」という意味の副詞、「もっと良い、より良い」という意味の形容詞で、「より良いこと」という意味の名詞、「改善する、にまさる」という意味の動詞でもあります。
「it is better」=「それはもっと良い」という意味になります。
「to(トゥー)」=「~に、~へ、~のために」という意味の前置詞で、「平常の状態に(戻って)、閉まって、前方に、活動を始めて」という意味の副詞でもあります。
「to」+動詞=「~すること、~するため」という意味になります。
「it is better to~」=「~することはもっと良い」という意味になります。
「A than B」=「BよりA」という意味になります。
「than(ダン)」=「~より、~よりむしろ」という意味の接続詞、前置詞です。
比較級を使う文章の時、何かを比べるとき、よくこの「than」が出てきます。
「better」ともよく一緒に使われます。
「A than B」=「BよりA」という意味、
「to A than to B」=「BすることよりAすること」という意味になります。
「it is better to A than to B」=「AすることはBすることよりもっと良い」という意味になります。
②「be hated for what you are」とは?
「be hated」=「嫌われる」という意味になります。
「be(ビー)」=「なる、である、いる、存在する」という意味の動詞、助動詞で、たくさんの意味があります。
Be動詞と呼ばれるものの一種で、使い方によって意味が変わるので少し難しくとらえてしまいがちですが、beがくっついた実際に使う用途はさほど多くないので、一つ一つ覚えてしまえば大丈夫です。
「hated」=「hate」の過去形になっています。
「hate(ヘイト)」=「憎む、ひどく嫌う、遺憾に思う、~したくないと思う」という意味の動詞、「憎しみ(の対象)、嫌悪」という意味の名詞です。
「be hated」=「嫌われる」という意味で、受け身になっています。
「I am hated.」=「私は嫌われる(ている)。」
「He is hated.」=「あなたは嫌われる(ている)。」
などと文章を作ることが出来ますが、今回の文では主語がなく、「嫌われること」と言いたいので、「be」が原形のままになっています。
受け身とは?
受け身とは、「be動詞」+「動詞の過去分詞形」=「~される」という意味になります。
例えば、
「Nectar is collected by bees.」=「蜜は蜂によって集められる。」
「That car is washed by him.」=「その車は彼によって洗われる。」などがそうです。
「by」をつけると、「~によって」という意味になります。
また、過去形にしたい時は、
「That car was washed by him.」=「その車は彼によって洗われた。」
のように、「be動詞」の部分を過去形にすれば大丈夫です。
「for what you are」=「あなたである事として」という意味になります。
「for(フォー)」=「~に向けて、~にとって、~のために、~として、~あての(人)、~の点で、」という意味の前置詞です。
「what(ワット)」=「何、どんなもの、いくら、どれほど」という言う意味の代名詞、形容詞、副詞、間投詞です。
「you(ユウ)」=「あなたは、あなたが、あなたを、あなたに」という意味の代名詞です。
「are(アー)」=「~は」という意味の動詞であり、「be」の二人称単数です。
「you are what」=「あなたは何かだ」となりますが、「あなたである何か」と言いたいので、
「what you are」=「あなたである何か」=「あなたであること」という意味になります。
「for what you are」=「あなたである事として」という意味になります。
「be hated for what you are」=「あなたである事として嫌われること」という意味になります。
③「be loved for what you are not. 」とは?
「be loved(ビーラヴドゥ)」=「愛される」という意味になります。
「Love(ラヴ)」=「愛する、恋する、好む」という意味の動詞、「愛、愛情、好きなもの、思いやり、恋愛、」という意味の名詞であり、 でもあります。
「be loved」=「愛される」という意味になります。
上記の「be hated」と同じ、受け身形になっています。
「for what you are not. 」とは?
「not(ナット)」=「~でない、~しない」という意味の副詞になります。
上記の文の構造と同じなので、
「what you are not」=「あなたではないこと」という意味になります。
「for what you are not」=「あなたではない事として」という意味になります。
「be loved for what you are not」=「あなたではない事として愛されること」という意味になります。
訳すると・・・
①に②と③をあてはめて、
「It is better to (be hated for what you are) than to (be loved for what you are not.) 」=「あなたでない事で愛されることよりも、あなたである事で嫌われることの方がもっと良い。」となります。
難しい単語は使っていないにも関わらず、実に深い意味の文章になっています。
ぜひ、声に出して、アンドレ・ジッドの言葉を感じてみて下さい。
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