意味=「苦しむことは、死ぬことより多くの勇気がいる。」
ナポレオン・ボナパルトの名言
「It requires more courage to suffer than to die.」-Napoleon Bonaparte
「イットゥリクワイアーズ モアケリッジ トゥサファーダントゥダイ。」
フランスの軍人で皇帝にもなったナポレオン・ボナパルトの名言です。
貴族の家に生まれたナポレオンは、幼い頃は読書に勤しむ無口な少年でしたが、陸軍の幼年学校や士官学校に通って兵法を学び、数学で優秀な成績を修めたり、4年近くかかる全課程を1年もかからず修了するなど、若い頃から非凡な才能を発揮します。
フランス軍の士官になってから、徐々に頭角を現して出世し、軍の司令官になった後、フランス革命に参加して王党派を鎮圧し、執政政府を樹立し皇帝になります。
ナポレオンはイタリア遠征の際に、4万人の兵士を率いてアルプス山脈を越え、イタリア軍の意表をつく大胆な奇襲作戦を成功させるなど、その自信に裏打ちされた、軍事的にも政治的にも傑出した才能を発揮しました。
よく見るナポレオンが馬に乗った肖像画は、その時のアルプス越えの時の様子を描いたものです。
皇帝になってからはヨーロッパで勢力をのばし、同盟国も増やしますが、その独裁的な政治手法により、ヨーロッパ各国や国内からも反感を買い、フランス軍の勢いがなくなって失脚し、フランスから遥か南のセントヘレナ島に追放されてしまいます。
そんなナポレオンの、生きることに関する名言です。
人の死に対する感覚はそれぞれだと思いますが、ナポレオンは、生きて苦しむ方が勇気がいると言っています。
ナポレオンは皇帝の座を失脚した時に、自殺未遂をしたと言われています。
確かに、全ての責任を負わされて生きるより、死んでしまった方が楽である、とも考えられるかもしれません。
しかし、ナポレオンは死なずにセントヘレナ島に追放され、戦犯として監視される不自由な生活を強いられて、病気とも戦いながら余生を過ごしました。
そういう生活を送ることは、ナポレオンにとって死ぬことより勇気がいることだったのかもしれません。
昨今、一見不自由なく生きているように見える人でも、自殺してしまう人が多い印象を受けますが、死ぬことは選ばないで欲しいです。
その人達の環境は分かりませんが、死のうと思えばいつでも死ねるわけですから、生きることの方が間違いなく偉大な事です。
ナポレオンは賛否ありますが、そういう意味で、参考に出来る言葉だと思います。
文の構造
「It requires A to B than to C」=「Bすることは、CすることよりAを要求する。」
「A」=「more courage」
「B」=「suffer」
「C」=「die」が入ります。
この文のポイント
・「require」という単語の意味
・「It」=「to suffer」であること
「It requires more courage to suffer」とは?
「It requires~」=「それは~を要求する」という意味になります。
「it(イットゥ)」=「それ、それは、それに、それを、それが」という意味の代名詞です。
この「It」は、後ろの「to suffer」のことを指しています。
「require(リクワイアー)」=「要求する、必要とする、要する、命じる、要請する、望む」という意味の動詞です。
「It」が主語なので、三人称単数の「s」がつき、「requires」となっています。
「It requires~」=「それは~を要求する」という意味になります。
「more courage」=「より多くの勇気」という意味になります。
「more(モア)」=「もっと(より)多い・多くの、それ以上の、追加の」という意味の形容詞、「さらに多くのもの・人、さらに多くの量、それ以上のこと」という意味の代名詞、「さらに、もっと、その上、一層、むしろ」という意味の副詞で、「much」「many」の比較級でもあります。
「courage(ケリッジ)」=「勇気、度胸」という意味の名詞です。
「more courage」=「より多くの勇気」という意味になります。
「It requires more courage」=「それはより多くの勇気を要求する」という意味になります。
この文に、「to suffer」がくっつきます。
「to suffer」=「苦しむこと」という意味になります。
「to(トゥー)」=「~に、~へ、~のために、~まで、~に加えて、~に合わせて、~に対して、~の、~によって、」という意味の前置詞で、「平常の状態に(戻って)、閉まって、前方に、活動を始めて」という意味の副詞でもあります。
今回は「~すること」という意味の不定詞として使われています。
「suffer(サファー)」=「苦しむ、悩む、報いを受ける、病気にかかる、損害をこうむる、傷がつく、経験する、(嫌なことに)耐える、許す、~させる」という意味の動詞です。
「to suffer」=「苦しむこと」という意味になります。
「It requires more courage to suffer」=「苦しむことはより多くの勇気を要求する」という意味になります。
「It requires more courage to suffer」=「それはより多くの勇気を要求する、苦しむこと」
=「苦しむことは、より多くの勇気を要求する」という意味になります。
この文の構造は、「It is~to~」と同じ構造の文になります。
「to suffer」=「It」になります。
例えば、
「It is important to eat breakfast.」=「朝食を食べることは重要だ。」という文は、
「It」 =「to eat breakfast」になるので、
「To eat breakfast is important.」と言い変えることが出来ます。
本文も、
「It requires more courage to suffer」=「To suffer requires more courage」と言い変えることが出来ます。
分かりづらければ、言い変えた分で考えるようにしましょう。
「need」と「require」の違い
「require」と「need」は、どちらも「必要とする」という意味がありますが、
「require」の方が堅く、客観的で、自分以外の他者が行うイメージがあり、意味も違うので注意しましょう。
お店や会社、公的な場所での決まりごと、法律的な要求などでは、「require」の方がよく使われます。
「必要」と覚えてしまうと「need」と混同してしまうので、「require」は「要求する」という意味で覚えておくと良いです。
例えば、「私は次の仕事で英語の技術が必要である。」と言いたい場合、
「I need English skills for my next job.」と、「need」を使って言うことは出来ますが、「require」を使って、
「I require English skills for my next job.」とすると、意味が分からなくなってしまいます。
「要求」しているのは会社側であり、私が「要求」している訳ではないからです。
「require」を使うのであれば、
「My next job requires English skills.」=「私の次の仕事は英語の技術を要求する。」、もしくは、
「English skills are required for my next job. 」=「英語の技術が私の次の仕事で要求されている。(受け身)」と表現しましょう。
「~than to die」とは?
「than」=「~より」という意味になります。
「than」=「~より、~よりむしろ」という意味の接続詞、前置詞です。
何かを比べるとき、よくこの「than」が出てきます。
「to die」=「死ぬこと」という意味になります。
「die(ダイ)」=「死ぬ、枯れる、薄らぐ、消える、絶える、止まる、機能しなくなる、死にそうである、~で死ぬ、~の死に方をする、〜が欲しくて・したくてたまらない」という意味の動詞、「さいころ、さいの目、鋳型、ダイス型」という意味の名詞です。
「to die」=「死ぬこと」という意味の不定詞になります。
「~than to die」=「死ぬことより~」という意味になります。
ここで、不定詞について説明したいと思います。
不定詞とは
動詞の原形に「to」が付くことで、名詞・形容詞・副詞的な用法が出来て、「~すること」、「~するため(に、の)」という意味になるルールのことです。
例えば、「to swim」=「泳ぐこと、泳ぐため(に、の)」という意味になります。
「~すること」という意味は、動名詞と同じですね。
「to swim」=「swimming」=「泳ぐこと」という同じ意味になります。
しかし、「~すること」と「~するための」と、どちらかの意味なのかというのは、文脈を見て判断していくことになります。
大きく意味が違うので、パッと見でどちらか分かるようになっていきます。
今回は「~すること」という意味で使われています。
全てつなげて訳すると・・・
「It requires more courage to sufferthan to die.」
=「苦しむことはより多くの勇気を要求する、死ぬことより。」
=「苦しむことは、死ぬことより多くの勇気を要求する。」という意味になります。
ぜひ、声に出して読んでみて下さい。
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